―基槻 SIDE―



11時頃、俺は家を出た。

朝、信子さんに連絡をしてみたら、「お昼前が、遊ちゃんの働きっぷりがよくわかるわよ」と、教えて貰ったからだ。

案外、俺も人の言葉を信じる人間だ。

「そんなに見たかったの?」と、信子さんに笑われてしまった。

まさか、こんなすぐに来ると思わなかったんだろう。

でも、遊の仕事をする姿を見たい気持ちは山々だった。

俺の仕事は何度も見に来てたし。

自分だけ見られたら、恥ずかしくはないが、相手のも見たいと思う。

まぁ、遊のどんな姿も知っておきたいと、思うのも確かだけどさ…。