最後の利用者さんをエレベーターに乗せて、菜月ちゃんと2階に戻ると、小池さんはコーヒーを淹れていた。

私は砂糖とポーションミルクを入れるのを手伝いながら、携帯について注意する。



「私、シンママなんで。母親からすぐメールが着ちゃうんですよ」



「―――は?」



…シンママって、“シングルマザー”って事だよね?

それが言い訳になるの?

茉莉さんだって、シングルマザーなのに、携帯すら見てないよ。

私はコーヒーを手渡しに行った小池さんの背中を見つめる。

…どうしよ…。

私は博美ちゃんや宮迫さん、レク室にいない人たちへコーヒーを渡しに行く事にした。