見上げた夜空には、星のひとつも見当たらない。


久しぶりの孤独に襲われて、だからそれを制御出来なくなりそうで、ただ怖かった。


震える手で煙草を吹かしていると、メールの着信音が鳴った。


タカからだった。




【シロの餌がなくなりそう。】




相変わらず、文面には絵文字ひとつない。


道明さんからのメールの方が、よっぽど可愛げがあると思う。


まぁ、タカにとっては本当にただの通信手段でしかないのかもしれないけれど。




【明日は行くね。】




あたしもまた、それだけのメールを送った。


最近は、模試があるからと言って、頻繁にはあの部屋に通っていなかった。


けど、あたしがシロに買い与えているのは、スーパーで買うような安いキャットフードではなく、ペットショップがオリジナルで作っているもの。


だからタカは、それがどこで売られているのか知らないのだ。


携帯画面を眺めながら、ため息を吐き出さずにはいられない。


この数日、本当はタカに会いたくて堪らなかったけれど、でも反面で、依存のようになるのだけは怖かった。


今のあたしにはもう、タカとシロが待つあの部屋にしか居場所が見い出せないから。


やっぱり携帯を持つ手は震えていた。