「ごめんね、何か。
別にあたしのことなんか気にしなくても良いから。」


そんな言葉が精一杯だ。


タカもそれ以上は聞いては来ず、小さく笑ってからあたしの頭をぽんぽんとしてくれた。



「リサ、ついでに海行く?」


驚いたあたしをよそに、



「それ良いね。
すぐ近くだし、行こうぜ。」


道明さんもその提案に便乗した。


きっとこのふたりは、あたしのためを思って、気を使って言ってくれたのだろう。



「ありがと。」


その優しさに、少しだけ泣きそうになった。


あたしがいて、タカがいて、道明さんがいて、世界がたった3人ならば、どんなに幸せだろうかと思ってしまう。



「つか、道明くんって海とか絶対似合わねぇよな。」


「タカに言われたくねぇから、それ。」


あたしの手を引くタカの少し後ろを、道明さんが笑いながら続く。


海まで伸びる一本道で、昼下がりの陽に照らされながら、風が磯の香りを運んでくる。


例えばずっとこんな風でいられたならばと、願わずにはいられない。


3人並んで歩いていると、徐々に視界が開け、そこには海岸線が広がっていた。



「すごーい、海だぁ!」


人のいない砂浜と、きらきらと輝く水面。


思わず興奮して目を輝かせると、彼らはまた困ったように笑った。