高速に乗ってから一時間以上が過ぎ、降りた頃にはもうすっかりお昼になっていた。


道明さんが案内してくれたのは、港町にある海鮮丼が有名なお店。


と、いうか、わざわざこんなところまで来るなんて、ちょっと考えられないけれど。


店は平日のお昼ということもあり、比較的空いていた。


改めて、あたし達はなんて怪しくて変な組み合わせなのだろうか、と思う。


それから、注文して数分すると、3人分の海鮮丼が運ばれてきた。



「シロが見たら目の色変えるだろうね。」


あたしの言葉に、ふたりは腹を抱えて笑った。


海鮮丼は道明さんが言った通り、確かに地元じゃちょっと食べられない味だ。



「昔、叔父貴が連れて来てくれてね、それから俺のお気に入りになったんだ。」


自慢げに言わないでほしいものだ。


呆れるあたしをよそに、タカは横から茶化すようにして、



「羨ましいねぇ、若頭補佐は。」


「うるせぇな。」


小汚い定食屋みたいな店内で、相変わらずふざけたことを言い合うふたりを、あたしは微笑ましくも見つめていた。


彼らといると、日常の大抵のことは忘れられるから。


知らない景色と、美味しい昼食に、珍しくあたしはご機嫌になっていた。



「たまにはこういうのも悪くないもんだね。」