タカと道明さんは、本当に仲が良い。


友達というよりは兄弟に近い感じで、いつも何だかんだでじゃれ合っているから。


ふたりして、まるで子供みたいだ。



「あんたら何でそんなに元気なのよ、信じらんない。」


眉を寄せてみるも、彼らに促され、仕方がなくも準備して家を出た。


乗り込むのは、道明さん運転の車。


あたしとタカはいつも後部座席で、あれを食べようだとか、二日酔いで死にそうだとか、わいわい騒いでいる感じ。



「リサちゃん、食いたいもんリクエストある?」


問われたが、あたしではなくタカが、



「何で俺じゃなくてリサに聞くわけ?」


「お前の意見なんか興味ねぇよ、馬鹿。」


「うわー、これだから道明くん嫌いなんだよ。」


思わず笑ってしまった。


普段は険しい顔をする彼らも、一皮剥けば普通の男ということだろう。


今更このふたりの関係性を聞こうとは思わない。



「何かさ、天気良いし遠くに行きたいよね。」


「おっ、それ良いね!」


あたしの提案に、彼らは声を揃えた。


すると本当に車は高速に乗り、道明さんは楽しそうなご様子で運転をする。


少しだけ、息苦しい街から遠ざかり、呼吸が楽になったような気がした。