タカは堀内組と組んで、エンペラーを使って動く以外にも、個人的に金貸しをしていた。


もちろん貸金業の許可証なんて持っていない、違法な金利を貪る闇金だ。


トイチ(十日で一割)なんて甘いもので、トゴ(十日で五割)、果てはアケイチ(一日一割)で利息を取ることもある。


だから彼の携帯は、いつも引っ切り無しに鳴っていた。



「ごめんね、シロ。
ご飯まだあげてなかったもんね。」


服を着てから小さなその体を抱き上げると、シロは喉を鳴らした。


ふにゃあ、と弱々しい鳴き声は、まるであたしを心配してくれているかのよう。


リビングに戻ると、こちらに気付いた携帯片手のタカは、



「リサ、俺そろそろ行かねぇと。」


「そっか。」


「多分、明け方頃には戻れると思うから。」


「良いよ、無理しなくて。」


いってらっしゃい、なんてことは言わない。


だって、タカが必ず戻ってくるという保証は、どこにもないから。



「じゃあね。」


見送る時は、いつもそんな言葉。


タカはあたしにキスをして、シロの頭を撫でてから、部屋を出る。


扉が閉まると、身を預けた壁の冷たさを感じてしまう。


随分とあたしの物が増えたこの部屋なのに、なのにちっとも嬉しくはならない。


先ほどまでの熱を完全に失った体には、虚しさばかりが侵食し始める。


シロはそんなあたしの指を、ざらついた舌で舐めてくれた。