タカはひどく寂しそうな目をしてあたしを見た。


子猫のか細いまでの鳴き声が、それにシンクロナイズする。



「この子が死ぬの、嫌?」


やっぱり答えはない。


あたしはひとつため息をついてから、その辺にあったメモ用紙に必要なものを書いた。



「とりあえず今すぐ買い物行ってきてよ。」


彼はその紙切れを手にし、



「悪ぃ。」


何なのかもわからない謝罪の言葉を残して部屋を後にした。


次第に窓ガラスに雨粒が当たる音が聞こえ始め、一層子猫のぬくもりを確かめる。


人の都合に振り回されて生きるだなんて、まるであたしみたいだ。







それから10分ほど経った時、タカが戻ってきた。


手渡された買い物袋には、あたしの指令通りのものが詰まっている。



「猫、抱いてて。」


子猫を押しつけてから、まず、キャットフードの包みを開け、中身を粉々になるまで砕いた。


そしてそれを、お皿に移した牛乳に混ぜる。



「これで少しは栄養も取れるでしょ。」


床に置くと、子猫は戸惑いながらもそれに舌をつけてくれた。


とりあえずは一安心だ。