「雷帝さん、まーた違う子連れてるんすね。」


「羨ましいっすよ。」


そんな言葉を軽くあしらったタカは、



「ポリ公が色々と嗅ぎ回ってるみてぇだから、お前ら気ぃつけろよ。」


エンジン音とウーハーの重低音、そして排気ガスと人の熱が、この車の中にまで伝わって来て、嫌になる。


タカはさらに男達を統率した。



「あと、県外プレート狩りが流行ってるしな、今はあんま地元離れるな。」


うぃっす、と彼らは返事をした。


タカはそのうちのひとりに数万円を渡すと、じゃあな、の言葉ひとつで車に戻ってきた。


その場から離れる車内で、あたしはため息を吐き出してしまう。



「悪ぃな、もう終わったから。」


タカのそんな言葉も意味をなさない。


先ほどの集団が何なのかくらい、すぐにわかってしまったから。



「さっきの、チーム・エンペラーでしょ?」


聞いた瞬間、彼はひどく驚いた顔でこちらを向いた。



「見ればわかるし、地元の人間なら誰でも知ってるよ。」


軽く言ったつもりだったのに、タカは恐ろしいほど冷たい瞳で、車を車道脇に停車させ、



「何でお前がその名前知ってんだよ。
あいつらには何の統一性もないし、ただ集まってるだけの烏合の衆だ。」


「………」


「それだけを見て、何でエンペラーだってわかったんだ?」


たたみ掛けるように言って、彼は詰め寄ってくる。