眠る時にはいつもあたしを抱き締めてくれるこの人は、本当は孤独を恐れているんじゃないかと気付かされた。


明かりがないと眠れないだなんて、心に闇を抱えている証拠だから。


きっとあたしは、タカの悲しみを映す色をした瞳に囚われているのだろう。


あれからふたりで散々飲み明かし、起きた時にはお昼になっていた。


さすがにお腹が空いたけど、でも頭が痛くてそれどころではない感じ。



「アンタさぁ、あれだけ飲んで次の日もへっちゃらとか、どんだけ強いのよ。」


こめかみを押さえて悪態をつくあたしを鼻で笑ったタカは、



「お前が考えて飲まねぇから悪ぃんだろ。」


そんな風に言いながらも、水を差し出してくれるところには優しさを感じてしまう。


いや、手の掛かるペット程度の扱いなのかもしれないが。


そんな風にして、リビングでダラダラと過ごしていた時、玄関からチャイムの音が鳴り響いた。


タカは舌打ち混じりにそちらに向かい、ドアを開ける。



「よう、久しぶりだな。」


顔を覗かせたのは、スーツの男。


彼は目を丸くしているタカを無視し、つかつかと部屋へと入ってきた。


そしてあたしを見つけ、



「あれ?」


小首を傾げる。


見た感じだと、30代半ばくらいで、怪しい商売でもしている風の彼。


あたしは煙草を咥えたまま、曖昧な顔で笑った。



「初めてじゃねぇか、タカが部屋で女といるなんて。」