タカの部屋に入ってすぐ、扉を閉めたと同時に唇を奪われた。


冷たくて、でも熱っぽい瞳に囚われ、形だけの抵抗は意味をなさない。


酸素さえも絡め取られるまでに、彼は性急にあたしを求めた。



「リサ。」


こういう時だけ名前を呼ばないでほしい。


と、いうか、つくづくこの人は、狭苦しい場所での行為を好むようだ。


何の用があって呼び出されたのかと思えば、セックスをするためだったというのは笑える話だけれど。


ドンッ、と壁に伏す恰好で貼り付けられ、そのまま後ろから犯された。


痛みに貫かれながら、玄関先で声を殺すことしか出来ない。


それでもタカに支配されていると、混濁した意識の中で、グチャグチャに塗り重ねられた醜い感情が消えていくように感じた。



「リサ。」


タカが吐き出すように絞り出す。


その苦しげな声色が耳に触れて、途切れてしまいそうだった意識がまた引き戻された。


どうしてそんなにも、辛そうな声を出すのだろう。


背中で受け止めるにはあまりにも悲しい重みで、だから堪え切れなくなって膝から崩れ落ちた。



「ねぇ、何かあった?」


目を見ず聞いたのに、彼の答えはない。


代わりに、



「うるせぇ、お前は黙って俺にヤラれてりゃ良いんだよ!」


フローリングにうずくまるあたしを、さらに捕えたタカ。


言われている言葉の意味を考えられるほど、あたしの思考は正常な場所へ戻ってはくれなかった。