時間にしてものの5分ほどで佐藤ちゃんと別れた時、梢は「これであの靴が買える!」と嬉しそうな顔で笑っていた。


こんな風にして得た金も、所詮は流行りのものに消えていく。


常に新しいものを、人より良いものを、なんて消耗していけばキリがないのだろうけど。



「あ、あたしそろそろ時間だから帰るね。」


携帯で時間を確認した乃愛が言った。



「今日はどの男?」


聞いたのに、内緒だよー、なんて言って、彼女はさっさとこちらに手を振った。


まぁ、3股は忙しくて大変なのだろうけど、でもよくやるもんだ、と思ってしまう。


帰っていく乃愛の背中を見送りながら、梢とふたり、顔を見合せて肩をすくめた。



「リサ、これからどうする?」


「わかんないし、何でも良いよ。」


互いにこのまま家に帰ろうとは思わない。


けれどまぁ、こう毎日街にいたってすることがないのが実情だ。


だから困りあぐねてしまった時、鳴ったのは梢の携帯だった。



「はーい、あぁ、うん。」


彼女は、いつもよりワントーン高い声で2,3言葉を交わし、



「じゃあ駅で待ってるね。」


なんて言って、電話を切った。



「ごめんね、リサ。
あっくんに誘われちゃった。」


どうやら男からの呼び出しだったようだけど。


と、いっても、カレシとかそういう類ではないことは知っている。