「遅くなってごめんねー!」


5分遅れてやってきた佐藤ちゃんは、見た目だけなら少し派手なOLさんといった感じ。


まさか、この人が大人のオモチャを売ってたり、ブルセラ売買に手を染めてるだなんて、きっと誰も思わないだろう。



「みんな相変わらず可愛いよねぇ。」


まず一言お世辞を添えるのが、彼女流の挨拶。


そしてすぐに、じゃあ行こう、と言い、先頭を切って歩き出した。


駅のトイレは綺麗なので、あたし達が下着を売る時はいつもそこを使う。


障害者用の広い個室に女4人で入り、鍵を閉めた。



「じゃあ、乃愛っちからよろしくね。」


言われた乃愛が前かがみにパンツを降ろし、佐藤ちゃんはその光景をポラロイドカメラで撮影した。


あたしと梢も、続いて同じようにパンツを脱いだ。


それから3人でピースをした顔を写真に写され、佐藤ちゃんからそのフィルムを渡される。



「まぁ、いつものように適当にラクガキしといて。」


要はパンツを売る時に顔写真を添えれば値段が高くなる、ということ。


けど、さすがに顔出しは出来ないので、それぞれが撮影されたものにラクガキをして、目の部分を隠したり、名前を入れたり。


もちろんそれは、今流行りのアーティストとかから取った偽名だけど。


あたしのフィルムには、アユだよー、なんてわざとらしいギャル文字の装飾を施しておいた。


佐藤ちゃんはパンツとフィルムを受け取ると、



「まいどありー。」


なんて言って、あたし達にそれぞれ5千円を手渡してくれた。


こんなにも容易くバイト代が手に入るのだから、せこせこと働こうとは思えない。