反射的に携帯を取り出し、道明さんの番号をリダイヤルするけれど、でも流れたきたのは機械的なアナウンスのみ。


あたしまで震えが止まらなくなってしまう。



「…どうしてっ…」


結香さんは吐き出すように言った。



「戻ってきたら話があるって言ってたのに、どうしてよ!」


そんなはずはない。


だって道明さんが嘘をついたことなんてないんだから。



「あたしが確かめてきます!」


制止しようとした結香さんを振り払い、あたしは彼女のアパートを飛び出した。


外はまだ薄暗く、人影さえない。


ニュースでは確か、M町の倉庫街だと言っていたし、そこに行けば少なくとも、何かがわかるはずだ。


もしも仮に、誰かが撃たれて殺されていたとしても、それが道明さんであるはずはないと、信じていたかった。


息を切らして走っていると、ポケットから鳴り響いた、着信音。


公衆電話からと表示されたそれを見て、焦って通話ボタンを押した。



『リサ、俺だ。』


タカだった。


その声を聞いた途端、張り詰めていたものの糸が切れるように涙が溢れる。



「…さっきニュースで、あたしっ…」


支離滅裂に言葉を並べようとするが、それを遮り彼は言う。



『道明くん、殺されちゃった。』