深夜、用もないのにコンビニに行き、煙草と新発売のジュースを買って、自宅マンションまで戻ろうとしていた時だった。


裏通りに隣接する公園の前を歩いていると、見慣れない、けれど怪しすぎる黒塗りの車が、乱雑に3台も止められている。


確かにここは、治安が良いとは言えない場所だけど。


でも何なのかと目を凝らしてみれば、公園内には数人の人影と話し声、微かにうめき声まで聞こえてくる。


だからすぐに立ち去るべきだったのに――



「おい、誰かいるぞ!」


気付かれ、逃げようとしたが遅かった。


すぐに男達に囲まれ、はがい締めにするように捕えられると、苦痛に顔が歪んでしまう。



「ちょっ、やめてっ!」


女の力での抵抗に、意味はない。


手から落ちたコンビニの袋が、その場に転がる。


5人のイカつい男達の後ろには、ぴくりとも動かず倒れている人間の影。


それを見つけた瞬間、血の気が引き、叫ぶことすら忘れていた。



「まさか、見られるなんて思わなかったよ。」


リーダー格の男が怪しく笑う。


血の通っていない、でも獣のような瞳の色と、立て髪のような少し長めのソフトモヒカン。



「ケンは生かしたまま冬柴さんのところに運べ。
間違っても指示が出るまで殺すな。」


彼の命令に、男達は半死のような状態のモノを担いで車に運ぶ。


尋常じゃない雰囲気と事態に、殺されるのかもしれない、と本気で思った。



「あと、この女は俺が引き受けるから。」