結香さんの部屋に入り、ふたりでテーブルにお菓子を広げた。


曰く、「女ってご飯食べれない時でも、こういうものは別腹だからね。」とのことだ。



「そういえば、タカさんは?」


ぎくりとした。


けれど、殺されるのかもしれない、なんてことは言えなくて、



「ちょっと呼び出されたけど、それ終わったら迎えに来るから、って。」


「そっか、良かったね。」


彼女はまるで自分のことのように嬉しそうだ。



「リサ、愛されてんじゃーん。」


「ちょっと、やめてくださいよ。」


小突かれて、笑った。


笑っていなければ不安に押し潰されてしまいそうになるから。



「ほら、そういう顔してちゃダメだよ。」


結香さんは笑顔を曇らせがちなあたしに、



「不安に思うってことは、相手を信じてないってことになるんだから。」


そうか、結香さんは道明さんを信じているんだ。



「男なんて元々、身勝手でどうしようもないんだから、女はどーんと構えてれば良いのよ。」


「そういうもんですかね。」


そういうもんよ、と結香さん。


つまりは人に縋ってばかりで生きるべきじゃないということだ。