道明さんから放たれた言葉が、ただ訳もわからず頭の中を反復する。


彼は助手席にいるあたしの存在に気付き、はっとしたように、



「とにかくすぐにそっちに行きますから!」


と、早口に言って、携帯を仕舞う。



「いや、何かの間違いのはずだから。」


あたしに空笑いを浮かべて見せた道明さんの言葉の、どこを信用しろというのか。



「タカを殺すって、何?」


けれど、問うた声は震えていた。


彼は一度ため息にも似た息を吐き、こちらに向き直る。


その瞳は真っ直ぐだった。



「状況はわかんねぇけど、もしも、万が一のことになったとしても、タカは俺が死なせねぇよ。」


「…そんな、こと…」


「大丈夫。」


道明さんは力強く言った。



「さっき言ったろ?
あったかくなったら今度みんなでどっか行こう、って。」


「………」


「だから心配しなくても、すぐにアイツ連れて戻ってくるから。」


「けど!」


「何度も言わせんなって。
俺は嘘なんかついたことねぇだろ?」


大丈夫だと、もう一度強く言った道明さんの言葉に頷いた。


車を降りるとそこには、外に出て待ち構えていた結香さんの姿があった。