「え?」


「つか、もう連絡入れてるから。
俺んちよりそっちんが女同士で良いだろ?」


けれど今は、春樹が心配だ。


そう思ったあたしの思考を読んだように、道明さんは、



「あのな、弟の傍にいてやりてぇのはわかるけど、リサちゃんが倒れたらどうすんだよ。
飯もろくに食ってねぇってタカから聞いたし、そんな看病、誰が喜ぶんだ?」


「………」


「別に結香も迷惑だなんて思うようなヤツじゃねぇし、ひとりで抱えるより、周りに甘えることだって大事なんだから。」


そうだ、タカにもずっと心配されていた。


春樹のことを考え、他のもの全てを遮断していたけれど、でも道明さんが言うように、あたしは自分が思うよりずっと、みんなに想われているのだろう。



「…わかった、そうする。」


胸に抱えた、姉弟での写真。



「何かあたし、やっぱダメだね。」


「別にダメじゃねぇだろ。
ついでに言っとくと、迷惑料ならタカから徴収するから、そんなもん気にすんな。」


この人らしくてまた笑った。


それから程なくして、車は結香さんのアパートに到着した。



「ありがとね。」


と、言って、ドアを開けようとした時、道明さんの携帯が鳴った。


彼は一瞬険しい顔をし、取り出したそれの通話ボタンを押す。



「はい、はい、……え?」


声のトーンで、何かあったのだろうと思った瞬間、



「タカを、殺す?」