「それってアイさんと似てるから?」


と、聞くべきではなかったのかもしれない。


けれど彼はははっ、と笑い、



「どこがだよ、全然だろ。」


人は誰かの代わりにはならない、と、前に道明さんが言っていた言葉を思い出した。


何故か心があたたかくなっていく。



「まぁ、タカはどう思うかわかんねぇけど。」


「………」


「でもアイのこと忘れるって意味じゃねぇし、人生、後ろばっか見てても前には進めねぇわけじゃん?」


それが道明さんの出した、迷いのない答え。



「あたし、応援するよ。」


心の底からそう思った。


人はみな、本来幸せであるべきなのだと、何かの本で読んだことがあるけれど。


春樹が意識を取り戻して、タカが仕事を辞めて、そしたらきっと、全てのことが良い方向に行くはずだ。



「何かそれ聞いて、あたし嬉しい。」


「いや、俺これでフラれたら笑えるけどな。」


そしてあたし達はまた笑う。


本当に久しぶりに、穏やかな気持ちでいられている気がした。


すると道明さんは急に真面目な顔をして、



「リサちゃん、結香んち行ってろよ。」