「何か、ごめんね。」


反射的に謝ると、



「いや、俺も心配だったし、まぁ、生きてんならそれで良いんだけどよ。」


不思議と気持ちは穏やかになっていた。


堀内組がどうだとか、ヤクザだから、なんてことの前に、道明さんは道明さんだ。



「つーかさ、話すのすげぇ久しぶりに感じるの、俺だけ?」


「あたしも同じこと思ってた。」


互いに笑った。


笑ったら、道明さんは煙草を吹かしながら少し沈黙した後で、



「こんなことになっちまったのは、俺の責任だよな。」


「………」


「命令だからって、関係ない堅気の人間巻き込んで、どうして俺こんなことやってんだろう、って。」


「でもあたし、道明さんのこと恨んでないし、これからだってそれは変わらないよ。」


あたしの言葉に、そっか、と彼は、噛み締めるように呟いた。


きっと春樹だってもう、誰かを恨むようなことはないはずだから。



「ありがとな、リサちゃん。」


珍しく素直なその言葉に、ちょっと驚いた。



「それとこの前は俺も感情的になりすぎて、悪かったよ。」


「ううん、あたしそこごめんね。」


仲直りのようで、やっぱりあたし達らしくない。


けれど、こんな友達みたいな関係は、それはそれで嬉しいものだ。