甲斐くん達は今も見つかってないということだ。


だとするなら、春樹と同じように、もうすでに堀内組の手に掛けられているのかもしれない。


呼吸さえままならないあたしに、彼は、



「お姉さん、エンペラーという少年チームをご存知ですか?」


どきりとした。



「少し前からの調べによると、春樹くんや、行方不明中の少年がそこに所属していたという話なんですが。
何かチーム内でのトラブルがあったのでは、と我々少年課は探っているところです。」


「………」


「まぁ、検挙してやろうにも、未だに実態が掴めない集団でして、こちらも手を焼いているわけなんですが。」


お姉さんは何かご存じじゃありませんか?


問われたが、怖くなって震えるようにかぶりを振った。



「やつら、噂ではヤクザとの繋がりもあるというし、最近のガキはチンピラと変わりないから困ったもんですよ、まったく。」


そこまで言い、あたしの顔を見た男は、あ、と慌てて口をつぐんだ。



「すいません。
弟さんがこんな時に、少し余計なことを言い過ぎてしまったようで。」


「…いえ。」


「まぁ、何かお気づきの点がありましたら、お姉さんもご協力ください。」


そう言って彼はひとりきびすを返した。


警察の人に真実を伝えなかったということは、あたしは堀内組と同罪なのだろうか。


タカや道明さんは、教えてくれるかは別としても、きっと何か知っているはずだ。


けれどやっぱり聞くことは怖い。