頭の中に浮かんでは消える、疑惑と恐怖。


男たちはあたしの様子に顔を見合わせ、ため息を混じらせてから、



「何かあったらご連絡します。」


と、その場を去った。


立っていることさえ出来なくなり、膝から崩れ落ちると、タカと道明さんが見計らったようにこちらに向かってきた。



「リサ。」


腕を取られそうになったが、無意識にそれを拒絶してしまう。


あたしが手を払うと、一瞬タカは驚いた顔をした後で、



「俺のこと疑ってんのかよ。」


ひどく自嘲気味に漏らされた台詞。


彼はぐっと唇を噛み締めてから、



「冬柴さんと事務所で話してた時に、連絡が入ったんだ。
春樹のこと見つけて轢き殺しといたから、もう全部カタがついた、って。」


止められなかった、とタカは言う。



「俺がアイツに逃げろって言ったばっかりに、こんな…」


「でもまだ生きてんだろうが!」


口を挟んだのは道明さんだった。



「死んだみてぇな言い方してんじゃねぇよ。」


そうだ、春樹はまだ生きている。


小さな希望を得たように顔を上げたあたしに、だけども道明さんは、



「帰るぞ。」


ひどく冷たい言葉を投げた。