あれから何時間経ったのか、気付けば空は幾分白み始めていた。


今日は平日だから当然学校があるけれど、でもタカがどうなるかもわからないのに、卒業するために行く意味はない。


シロのことだって気掛かりだし、考えるだけ思考は嫌な方に向かってしまう。


と、そんな空気を打ち破ったのは、道明さんの携帯の着信音だった。



「タカからだ。」


そう言って通話ボタンを押した彼は、



「やーっぱお前は生きてると思っ……、え?」


笑い混じりだったはずの声は、瞬間に凍りついたような顔と共に鋭くなった。


うん、あぁ、と彼は2,3相槌を打った後で、



「わかった。
リサちゃんには俺から話すから、そっちで合流しよう。」


通話を終了させ、あたしに向き直った道明さんの目が怖い。


だから無意識のうちに、何を言われるのかと身構えてしまう。



「リサちゃん、出よう。」


「…どこに行くの?」


「病院だ。」


「タカに何かあったってこと?!」


まくし立てたあたしに彼は、



「落ち着いて聞けよ?」


と、一呼吸置き、



「宮原春樹、死んだかもって。」