けれど深夜2時を過ぎた頃、タカの携帯が突然鳴り響いた。


タカは眠い目を擦りながら体を起こし、手探りにそれの通話ボタンを押す。



「何だよ、俺寝てんだっつの。」


漏れ聞こえてくる声で、相手が道明さんだということはわかった。


けれど次の瞬間、



「え?」


タカはひどく驚いた声を上げ、あたしを一瞥してから、内容がバレないようにとしているのか、背を向ける。



「どういうこと?」


何かあったのだということは、すぐにわかった。


何度か相槌を繰り返しながらも、彼は険しい表情を滲ませている。



「ちょっと待てって、とりあえず俺そっち行くから。」


通話を終えたタカは、小さく舌打ちを混じらせる。


まさか、銃の密輸に関する何かではないかと想像すると、一気に血の気が引いていく。


いや、そんなはずはないだろうけど。



「ねぇ、どこ行くの?」


問うたあたしの声は震えていた。


タカは弾かれたようにこちらを振り向き、まるで作ったような顔で口元だけを上げようとする。



「や、多分何でもないだろうけど、一応ちょっと。」


ちょっと、何なのかはわからない。


それでも彼はベッドから抜け出て、急ぎ身支度を整えた。



「タカ!」