学校を早退したところで、何がしたいわけでもない。
電車に乗ったきり、降りる地元の駅を通り越して、そのまま揺られた。
30分ほどが過ぎた頃、ふと思い立って下車してみれば、前に一度だけ来たことのある景色が広がっている。
そうだ、ここはあの場所だ。
まるで何かに背中を押されたように記憶だけに頼って歩いた。
町外れとでも言えば良いか、人通りも少ない田舎だ、駅から伸びる一本道を歩き続けていると、見えてきた灰色の風景。
速くなった鼓動を落ちつけ、石階段を一段ずつ登っていく。
そのうち景色は開け、整然と並んでいる墓石が目に映る。
木下くんが眠っている場所。
煙草くらいしか持っておらず、改めて手ぶらで来るべきではなかったと思ったけれど、どうしようもない。
木下くんの名前の彫られた墓石の前にしゃがみ、手を合わせた。
「元気だった?」
なんて聞くのはおかしいのかもしれないけれど。
でもそれ以上の言葉は思い付かず、やりきれなくて顔を俯かせてしまう。
この5年間が走馬灯のように蘇ってきた。
「ごめんね、木下くん。」
ごめんね、ごめんね。
それがあたしが言える精一杯。
例え誰も悪くなんてなかったとしても、彼を救えなかった全ての人間は同罪なのだ。
だからまた、ごめん、と呟く。
電車に乗ったきり、降りる地元の駅を通り越して、そのまま揺られた。
30分ほどが過ぎた頃、ふと思い立って下車してみれば、前に一度だけ来たことのある景色が広がっている。
そうだ、ここはあの場所だ。
まるで何かに背中を押されたように記憶だけに頼って歩いた。
町外れとでも言えば良いか、人通りも少ない田舎だ、駅から伸びる一本道を歩き続けていると、見えてきた灰色の風景。
速くなった鼓動を落ちつけ、石階段を一段ずつ登っていく。
そのうち景色は開け、整然と並んでいる墓石が目に映る。
木下くんが眠っている場所。
煙草くらいしか持っておらず、改めて手ぶらで来るべきではなかったと思ったけれど、どうしようもない。
木下くんの名前の彫られた墓石の前にしゃがみ、手を合わせた。
「元気だった?」
なんて聞くのはおかしいのかもしれないけれど。
でもそれ以上の言葉は思い付かず、やりきれなくて顔を俯かせてしまう。
この5年間が走馬灯のように蘇ってきた。
「ごめんね、木下くん。」
ごめんね、ごめんね。
それがあたしが言える精一杯。
例え誰も悪くなんてなかったとしても、彼を救えなかった全ての人間は同罪なのだ。
だからまた、ごめん、と呟く。