あたしも横から便乗したしように言ってやると、梢は不貞腐れたように顔を逸らす。



「ホント、梢には俺みたいな温厚なヤツじゃなきゃダメだもんなぁ。」


「うっさいって言ってんでしょ!」


相変わらずなふたり。


けれど任せていれば良いだろうと思い、あたしはひとり背を向けた。



「ちょっ、リサどこ行くの?!」


「あたしバカップルと一緒にいたくないし、早退するー。」


手をひらひらとさせて笑うが、



「リサ!」


梢によって制された。



「アンタこそ、ホントに大丈夫なの?」


「何が?」


「今まで聞かない方が良いって思ってたけどさ、この前街で一緒にいた人、誰?」


この前というと、多分道明さんのことだろう。


確かにあたしはタカのことも含め、梢には何も言ってはいなかったからこそ、余計に心配されているのだろうけど。



「別にただの友達だよ。」


「…それ、信じて良いの?」


「もちろんでしょ。」


「なら疑ったりはしないけど。
てか、あたしが言うなって感じだけど、もうあんま危ない人とは関わらない方が良いよ。」


はいはい、なんて話半分のまま、あたしは再び背を向けた。


梢が言いたいことはわかってる。


でもあたしはもう、タカや道明さんがいなければ自分自身が成立しないところまできているのだ。


ごめんね、梢。