「…あたし、は…」


何を言えば良いだろう。


あたしなんかに、一体何が言えるだろう。


それでもこんなにも強い瞳で話す乃愛を見たのなんて初めてだから。



「あたしは、乃愛が決めたことなら応援したい。」


並大抵の想いではないはずだ。


きっとこれからだって想像できないくらいに大変なんだろうけど、でも、乃愛の決めたことを否定なんて出来るはずもない。



「ありがとね、リサ。」


彼女は少し安堵したかのように笑った。


けれど拳を作った梢は、部屋を飛び出すように出て行ってしまう。



「梢!」


どうしようかと迷ったが、



「こっちは任せて。
あとで連絡するし、乃愛は赤ちゃん大事にしてよ!」


そう言い放ち、あたしは梢の背を追った。


マンションを出て、息も切れ切れに走ると、近くの自動販売機に寄り掛かるようにしてうずくまり、泣いている彼女の姿を発見した。


そしてあたしを見るなり、目が逸らされる。



「どうして乃愛はあんなこと言うのよ!」


「………」


「うちらやっと18になったのに!
これから先、まだまだ恋愛とかいっぱいして、色んなことがあるのに!」


「でも、乃愛はそれを捨ててでも、宿った命を選んだんだよ。」