いつも通りの居酒屋で、いつも通りにあたし達は、食べたり、飲んだり、騒いだり。


結局3時間ほどを過ごし、それからゲームセンターで酔っ払いついでに遊び、気付けば日付も変わるような頃となっていた。


今日も運転係は道明さんだ。



「つーかさぁ、俺もうお前らと多数決で飯決めたくねぇんだけど。」


「道明くん、負け惜しみかよー。」


「うるせぇなぁ。
ふたりして居酒屋、居酒屋、って馬鹿のひとつ覚えみてぇにそればっか言いやがって。」


「ははっ、そんなに肉食いたかったんだ?」


タカは後部座席から身を乗り出して笑う。


あたしもその横で煙草を吹かしながら、「馬鹿だぁ!」と便乗した。


久しぶりに3人揃い、くだらないことを言い合いながら笑ってる時間が、何より楽しいと感じていた。


けれどそれから5分と経たない間に、タカの携帯が着信の音を鳴らした。



「うん、うん、……え、見つかった?」


瞬間に、その声のトーンが張り詰めたものに変わる。


道明さんもまた、それに気付いたようで、ルームミラー越しにタカを一瞥する。


わかった、とだけ言って電話を切った彼は、



「ごめん、これから中央公園に向かってくんない?」


冷たさと悲しみが混じる瞳に、表情はない。


タカが探していた、“殺したいくらい愛してる女”が見つかったということだろうか。


先ほどまでの楽しかった空気は消え去り、ふたりが言葉を発しないから、あたしも何も言えなかった。


冗談さえも飛ばせないほどの、何かがあるということなのか。