それから3日が過ぎた夕方、帰宅したあたしをタカと道明さんが待ち構えていた。


先日の会話を盗み聞いてしまった手前、どきりとしたが、



「おう、リサちゃんおかえり。」


「遅ぇよ、お前。
みんなで飯行こうと思って待ってたんだからさぁ!」


彼らの様子はまるでいつも通りだ。


だからあたしも何食わぬ顔で笑って見せた。



「ちょっと、先に連絡くらいしといてくれなきゃ、食材買っちゃったじゃん。
てか、あんたら久しぶりすぎでしょ。」


「うわー、コイツ文句多すぎ。」


「うっさいなぁ。」


言い合うあたしとタカを見て、道明さんが腹を抱える。


大丈夫、いつもと何も変わらない。


まるで確認するように心の中で呟きながら、こんな関係を壊したくなくて、聞きたいことの全てに蓋をした。



「肉食おうぜ、肉!」


「やだよ、居酒屋で良いじゃん。」


「タカ、そればっかじゃねぇかよ!」


もしかしたらこのふたりもまた、わざと何かを隠して明るく振る舞っているのかもしれないけれど。


ぎゃあぎゃあと騒ぐ彼らを横目に、シロにエサだけやり、多数決で決まった居酒屋に行くために、部屋を出た。


珍しく、残暑とは程遠いほどの寒い夜。


夏ももう終わりなのかもしれない。