8月も中旬に差し掛かった今日は、登校日だ。


課題の提出や受験生としての自覚の再認識の他に、全員強制で模試まで受けさせられた。


久しぶりの制服と、机に向かうという行為には、やっぱり違和感を覚えるけれど。


でも、外に出るためには良いきっかけになったと思う。


そして長い一日を終えて疲弊し、帰ろうとしていた矢先、



「なぁ、何か食いに行こうよ!」


と、提案してきたのは直人だった。


こうやってみんなが集まったことすら久々だったので、あたしと乃愛と梢はふたつ返事で了承した。


そしてやってきたファミレスの一角。



「ねぇ、直人は進路とかどうすんの?」


乃愛がジュースのストローを咥えて聞く。



「俺は推薦で大学決まってるからな。」


「うそっ、マジで?」


「すごいっしょ。」


ただのスポーツ馬鹿よ、と横からすかさず梢が口を挟む。


彼女たちは何だかんだ言いながらも、あの練習試合の日から付き合い始め、徐々に距離を縮めているらしいけれど。



「将来は実業団に入ってバスケ続けたいけど、給料安いらしいし、普通にスポーツジムのインストラクターになるのもアリかなぁ、って。」


直人はいつも、先の先ばかり見ている。


だから目先の目標さえないあたしには、やっぱりそれはすごいことなのだと思った。


首元の鎖が揺れる。