完全に陽が昇り切ったのを見届け、あたし達は近くのホテルに入った。


とにかく眠気はピークに達していて、とてもこんな状態でなんて帰れないだろうから。


窓のひとつもない世界。


タカによってベッドに沈められ、口付けを交わし合いながら、服を脱がされる。


一糸纏わぬ姿になった時、残されたのは道明さんがくれたネックレスだけだった。



「怖くない?」


頷いた。


真っ直ぐに見上げた彼は、そんなあたしを見て小さく笑う。


タカの腕の中だけがあたしの居場所であり、こんなにも安堵させられるんだから。



「ねぇ、欲しいものがあるの。」


「ん?」


「タカの愛、全部ちょうだい。」


あたしはいつからこれほどまでに欲張りになってしまったのだろう。


けれど、例えこの一瞬だけだったとしても良いから。


彼はふっと口元を緩め、



「これ以上搾り取られたら、俺すれっからしになるぜ?」


そう言ってまた、唇が塞がれた。


互いの首にある指輪が、あたしの胸の上で寄り添うように重なり合う。



「リサ、誕生日おめでとう。」


傷の残った腕に抱かれながら、この人のために生きたいと、強く思った。


まぶたの裏には先ほどの朝焼けに染まる景色があって、それがタカの切なげな顔にリンクする。


愛を知らないあたし達が、必死で築こうとしていたもの。