この世の中には、喜びと悲しみが同じ数だけ存在しているというけれど、でももうずっと息苦しいままだ。


いつまで経っても痛みに鈍感になれなくて、まるで手当てすることを忘れた傷ばかり重ねているよう。


ただ過ぎゆく毎日の中で、今日も卓上の電子カレンダーの日付が変わるのを見届け、あたしはタカの隣で眠りに落ちた。


それからどれくらい経った頃だったろうか、



「おーい、起きろよ!」


と、あたし達は、道明さんによって揺すり起こされた。


眠い目を擦りながら時刻を確認してみれば、明け方ですらも近い時間だ。



「んだよ、うるせぇなぁ。」


タカは不機嫌さをあらわにするが、道明さんはそんなの無視とばかりにニカッと笑った。



「はいこれ、リサちゃんに。」


寝起きで手渡されたものは、ジュエリーメーカーの刻印の入った紙袋。


けれど何なのかわからず、それと道明さんの顔を見比べていると、



「今日、誕生日だろ?」


あたし本人が忘れていたのに、まさかこの人が覚えていたなんて。


なのに横で、あっ、という顔をしたタカを、あたし達は見逃さなかったけれど。



「やっべぇ、悪ぃ。」


その、心底バツの悪そうな様子に、笑ってしまった。


すると道明さんは何故か得意げな様子になり、タカにもうひとつ同じ紙袋を手渡した。



「何これ?」


「こっちはタカの分。」