久々に学校に来てみたけれど、そこに梢の姿はなかった。


代わりに乃愛が、ため息混じりにこちらへと近づいてきて、



「梢ならどうせ、夜遊びして寝坊でしょ。」


呆れ気味の口調だった。



「てか、最近の梢ってホントに大丈夫なの?」


「何が?」


「あっくんとかいう男、相当評判が悪いって、みんな言ってるんだよ?」


チャラい遊び人だとかいう話なら、あたしもよく聞くけれど。


でも梢が本気だと言う以上、止める権利なんてない。



「そんなもん自己責任でしょ。
もし、もてあそばれて捨てられた挙句に留年したって、梢自身が悪いんだから。」


子供じゃないんだから、と言ったあたしに乃愛は、



「けど、嫌な予感しない?」


「…え?」


「だって、何かあってからじゃ遅いんだよ?」


珍しく、乃愛は真剣そうだった。



「梢は相変わらず遊び歩いてるし、リサはまた弟に殴られたって言うし、どんだけ心配させんのよ、あたしのこと。」


驚いたけれど、



「でもあたしにしたら、不倫してる巨乳の方が心配だけどね。」


互いに顔を見合せて笑ってしまった。


だってこの時は、ただの笑い話のようにしか思っていなかったから。