シロはこちらに歩いて来て、少し離れた場所にちょこんと座った。


人は自分を守ろうとする時、無意識のうちに他人を傷つける言葉を吐くことがある。


だからタカは決して道明さんが嫌いなんかじゃないはずだ。



「大丈夫?」


今度は恐る恐るその頬に触れると、彼は小さく揺れる瞳を持ち上げた。



「あたしも道明さんも、もちろんシロも、タカのこと大好きなんだよ?」


無理する必要なんかないと言ったのは、タカなのにね。


引き寄せられ、唇が触れた。


それはただの慰め合いなのかもしれない。


けれど、あたしはきっと、タカが消えてしまったら生きてはいけないから。



「ごめんな、リサ。」


吐き出すように言った彼の顔は、やっぱり悲しげだった。


あたし達は、独りで生きていけるほどの強さなんてなかったから、だから寄り添い合っていた。


ぬくもりを共有しながら、互いが生きていることを確認し合った。


悲しい気持ちを分かち合いながら、この部屋で過ごしていた。






きっと永遠には続かないと
心のどこかでわかっていたから。