やっぱりその瞳は悲しげだった。



「お前が汚なくて醜いんなら、俺なんかどうなんの。」


タカはあたしとは違って、優しい心を持ってるじゃない。


そう言い掛けたけど、でも言えなかった。


彼は小さく笑う。



「俺、仕事だったら誰だって抱くし、何だってしてきた。」


「………」


「けど、お前だけは違うから。」


大切だから、とタカは言った。


その腕は少し震えていて、彼は悔しそうに息を吐く。



「俺以外のヤツに傷つけられてんじゃねぇよ。」


そんなこと言わないでよ、タカ。


優しさをくれた分だけ復讐心が削ぎ落とされてしまいそうで、そしたらあたしは生きる理由がなくなってしまうじゃない。


春樹を許してしまったら、あたしの今までの人生が何だったのか、わからなくなるじゃない。


だから愛さないで。



「愛してる。」



ダメだよ。



「もう俺から離れんな。」


ダメだよ、そんなの。


指先は熱を失っていて、震えていたのはあたしの方だったと、その時初めて気がついた。


タカの気持ちがただ痛かったから。