怪訝そうな声色だけど、それにすら力が抜けたように安堵してしまう。


だから心配だけはさせたくなくて、



「…ごめん、今日、無理っぽい…」


蹴られた腹からは、気を抜けば、嘔吐物さえ込み上げてきそうだ。


世界はぐわんぐわんと回っていて、声を漏らさないようにと必死で痛みを堪えたのに、



『なぁ、お前どうしたんだよ!』


あぁ、気付かれてしまった。


タカにだけは、こんな姿は見せたくないのにね。



「…大丈夫、だから。」


『おい、何があったんだ?!』


そんなこと、言えるわけがないじゃない。



「…熱が出てて、さっき薬飲んだから、ちょっと、うちで寝てれば…」


結局、やっと思い付いたのは、そんな陳腐なものだった。


けれど当然のように、彼に通じることはない。



『リサ!』


それがあたしの耳に、最後に届いた呼びかけだった。


もうダメだ。


一瞬にして世界はスローモーションのようになり、ガコッ、と落ちた携帯と共に、意識が遠くなっていく。


最低最悪な死に方だと、笑ってしまうでしょ。


ねぇ、タカ。