春樹は絞り出した。



「何で俺だけが罪人なんだよ!」


木下くんが死んだのは、春樹だけが悪いわけではないし、それは頭ではわかってる。


けど、でも、人生を壊されてしまったあたしには、それを向ける矛先がコイツしかいないから。



「アンタなんか一生苦しめば良いのよ!」


その辺に散らばったものを、手当たり次第に投げつけた。


もうやり返す気力を失ったのか春樹は、悔しそうな顔で唇を噛み締めるだけ。


息も切れ切れに、無理やりに体を起こすと、どこも折れていないことを確認できた。


だからって別に、痛すぎて喜べるわけなんてなく、辛うじて意識を保つことだけでやっとだった。


第一、タカになんと言い訳をすれば良いのか。


飛んでしまいそうな思考の端でそう思った時、向こうに転がっていたあたしの携帯が着信の音を鳴らした。


重苦しい空気の中で、それは嫌に耳触りだ。


タカの指定着信音。


床を這うように手を伸ばした時、弾かれたように春樹は驚き、



「クソッ!」


そしてその場から逃げ出した。


バタバタと消え去る足音を聞いてから、一向に鳴り止む気配のない携帯を何とか手繰り寄せた。


が、喋ることもままならない。



『おい、リサ?』