「リサ、怪我ねぇか?」


タカはしゃがんで、あたしと同じ高さまで目線を合わせてくれる。


ぐっと唇を噛み締めた。



「何でこんな危ないことすんのよ、馬鹿ぁ!」


情けない声で叱咤したのに、



「危ねぇのはいつものことだろ。
大体、お前のこと助けてやった俺が、何でキレられなきゃなんねぇんだよ。」


タカは怪訝そうな顔をする。


そうだ、悪いのはあたしなんだ。


途端にそれ以上は何も言えなくなり、顔を伏せることしか出来ない。


するとタカは困ったように口元を緩め、あたしの頭をくしゃくしゃっとする。


先ほどとはまるで別の顔だ。



「お前のためなら人くらいいくらでも殺してやるから、安心しろよ。」


喜べるわけがない。


それがタカなりの優しさだということはわかってる。


けど、でも、



「人殺しなんて、ダメに決まってるじゃん。」


「………」


「あたしなんかのために、そんなことしちゃいけないよ。」


弱々しくも言ったあたしに、タカはまるで怒られた子供のような顔をした。


彼は血の付いた手で顔を覆う。



「そういう言い方すんなよ。」