バイト上がりは19時。
通用口から出ると、
「よ!オツカレ」
ヤツは待っていた。
「なんだ、居たの」
アタシの声に苦笑して、ヤツは吸っていたタバコを灰皿に押し潰した。
「とりあえず、どっか入ろうよ」
笑顔が懐かしい、と思った。
ポケットに手を突っ込んで、アタシは歩き出した。
「どんだけ待ってたのさ」
「ん?まぁ、ちょっと」
「前からそうだけど、ホント、あんたってそういうトコ、アレよね」
「アレってなんだよ」
こうしていると、3年前に戻ってしまったみたいだ。
なんだか、妙な気持ちになる。
もう、終わっているのに。
懐かしい頃の気持ちが、やってくる。
嫌いになって別れた訳じゃないから、余計に妙な気持ちになるのかもしれない。
「あんたさ、今彼女は?」
「え?…今は、居ないよ。そっちは?」
「アタシも居ない」
「なんだ、じゃあ問題ないじゃん」
笑いながら、ヤツは言う。
「はーあ?」
「まぁ、いいじゃん。…それよりどこいく?」
「いいよ、どこでも」
そうして、バイト先から近くの居酒屋へ入った。