盆が明け、休み慣れしてしまった体にムチを打ちながらやって来た事務所。

 充はエレベーターの中でさえ眠ってしまいそうなくらい疲れきっていた。

 少しでも目を覚まそうと、喫煙所である給湯室に入る。

 そこには充と同じような顔をした沢田がいた。

「はよっす」

「おー、おはよ」

「沢田さん、今にも眠りそうっすね。顔ヤバいっすよ」

「お前に言われたくねぇよ」

 声に張りのない二人。

 タバコの煙さえも気だるそうに換気扇へと吸い込まれていく。

「なぁ、木下」

「なんすか?」