力なく笑った桃香は、充の背から腕を解く。
少しだけ体が離れた。
「だって、俺のことを好きなわけじゃないだろ?」
「……好きなわけじゃないわけじゃない」
「答えになってないよ」
ほらみろ。
好きだとは言えなかったじゃないか。
正直な性格がアダとなっている。
充はため息をついた。
「じゃあ、説明して」
「何を?」
「この部屋、池田さん一人で借りたわけじゃないんでしょ?」
桃香が視線を逸らす。
「ベッド、ダブルだよね? キッチンに灰皿あるよね?」
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