エアコン以外テレビも何もついていない部屋は静かで、外からセミの鳴き声が聞こえている。

 桃香の頭を撫でると再び目が合った。

 不思議なもので、キスというのは一度してしまうと次の迷いがなくなる。

 それは桃香も同じだったらしい。

 充の唇を待っていたように応えていた。

 軽いキスはいつしか深いものへと変わっていき、桃香から甘い吐息が漏れる。

 充の背中には、桃香の腕がしっかりと巻き付いていた。

 理性が崩壊する直前。

 充はゆっくりと桃香と体を離した。

「これ以上は、俺、勘違いする」