桃香の顔は、充の肩ほどの高さだった。

 こんなに小さな体に、一体どれほどのものが詰まっているのだろう。

 昨日は一人で泣いていたのか。

 俺が別の女と、ホテルにいる間に。

 充は意味もなく自分を責めたくなった。

 二人はリビングに移動して、小さめのソファに腰を下ろす。

 桃香は目を真っ赤にしたまま充に寄りかかった。

 充は肩を抱き、吸い寄せられるように桃香の額にキスをする。

 少し驚いた桃香が充を見上げた。

 潤んだ大きな目に、充が写る。

 顔と顔の距離は10センチほどしかない。

 その時、ふと、桃香が目を閉じた。