酷い顔をしていた桃香の目は、やっと本来の大きさに戻っていた。
頬はまだ熱を帯びているように見える。
充にはそれが、照れているように見えてしまう。
一緒にいて、なんて。
その口から出るとは思わなかった。
「池田さん……」
充の声は、自分が思ったよりも低く響いた。
桃香はその響きにハッとして、
「あたし、何言ってんだろ」
と自らの顔を手で覆う。
充は立ち上がった。
その音にピクッと肩を震わせる。
手が離れて二人の目が合った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…