酷い顔をしていた桃香の目は、やっと本来の大きさに戻っていた。

 頬はまだ熱を帯びているように見える。

 充にはそれが、照れているように見えてしまう。

 一緒にいて、なんて。

 その口から出るとは思わなかった。

「池田さん……」

 充の声は、自分が思ったよりも低く響いた。

 桃香はその響きにハッとして、

「あたし、何言ってんだろ」

 と自らの顔を手で覆う。

 充は立ち上がった。

 その音にピクッと肩を震わせる。

 手が離れて二人の目が合った。