香水?

 鼻が慣れて匂いが残っているとは気付かなかった充は、バツの悪さに視線を合わせられない。

 好きだと言ってから、そんなに日も経っていないのに。

「ごめん」

「どうして木下くんが謝るの? 別に、責めているわけじゃないのよ。ただ……」

「ただ?」

「うらやましいの」

 意外な言葉だった。

 誰の、どんなところがうらやましいのだろうか。

「ねぇ、お願いがあるの」

「なに?」

 桃香の願いなら、何だって。

「あたしね、気がおかしかったの。木下くんに見つかって、ハッとしたの。だから……」

「うん」

「今日は一緒にいて」