「そしたら、彼の家族がいてね」

「彼?」

「あたしが殺した人よ」

「ああ……」

「一人息子を殺した女とのご対面よ。彼のお母さんが、当然かもしれないけど、取り乱しちゃって……」

 スッと腫れた頬を撫でる。

 つまるところ、殴られたと捉えるべきだろう。

「二度と来るなって言われちゃった」

 やつれたように暗い顔。

 腫れたまぶたは恐らく泣いた跡だ。

「そうか」

「他にも色々言われて、あたし、どうしたらいいかわかんなくて」

 充はどう声をかけていいかわからず、とりあえずまた一口コーヒーを飲んだ。