桃香の部屋は、やっぱり桃香のにおいがする。

 四角くて焦げ茶色のテーブルに袋を置き、中身を出す。

 桃香は椅子に腰を下ろし、その様子を眺めていた。

「食欲なくても食べなきゃ。夏バテするよ」

「うん。ありがと」

 レタスサンドを桃香に差し出し、充は向かいの椅子に座った。

 桃香の素顔は、先日のそれとは比べ物にならないくらい醜かった。

「昨日ね、あのお墓に行ったの」

 桃香がサンドイッチを開封しながらポツリと話し出した。

 充は缶コーヒーを開け、一口飲む。