ペットボトル入りのお茶と軽い食事を買って、車に戻る。

 桃香は窓の外を眺めている。

 顔は見えない。

「車、出すよ」

「……うん」

 充は安全運転を意識してアクセルを踏む。

 2週間少し前に通った道を思い出しながら。

 桃香は黙ったまま車窓を眺めていた。

 程なくして桃香の自宅に到着。

 充はそのまま桃香を下ろして帰宅するつもりだったけれど、

「上がっていく?」

 と言われたのでお邪魔することにした。

 コンビニの袋を持ち、エレベーターを利用して5階へ。

 部屋の鍵を開ける音が廊下に響く。