「アキ? どうしたのぼーっとして」

 梓があたしの顔の前に手をかざす。

「ご、ごめん。ちょっと考えごと」

「そろそろ帰ろっかぁ。宿題あったし、小テストもあんじゃん」

 美由樹が伸びをして、あくびをしながら言う。そっか、もうそんな時間。


 薄暗くなった店外へ出た。

 道路を走る車はライトを点灯し始めている。夕方ラッシュの時間帯へと入っていく。


「じゃあ、またねー」

 3人はそれぞれ、下校通路が違うので、ここでお別れ。

 あたしは駅へと向かう。



 勉強と部活、恋に遊びにおしゃれにって、高校生は忙しい。

 梓と美由樹を見てると、たまに楽しそうだなって羨ましくもある。