「あ、根岸先輩おはようございまぁす」


何であたしの名前を知ってるのか、雪乃ちゃんは甘い響きの声そのままにニコリと可愛いらしいがよく似合う笑顔を向ける。


「おはよ」


あたしだってこんな笑顔向けられたらきっとヤられる。こちらも精一杯笑顔で答えた。



「茜ちゃん♪久しぶり?」


言葉通り暫く振りに見る廉はまるでいつもの調子で声をかける。そう、全くいつもみたいで調子狂う。その笑顔が眩しくてドキッとしたのに、理由なんか、きっと、ない。


「茜ちゃん、顔赤い」



廉はまるでそんなあたしの様子を面白がるみたいに指先で頬に触れた。



瞳が、優しい。



だから、理由なんて知らない。